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2024年05月03日
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DTA サンプル

2004年08月05日
えっちしたい士郎さんの話。
かっこいい弓兵はどこにも居ません。
むしろかっこ悪い弓兵がいっぱいです。
士郎さんが押せ押せ、士弓発言のようなものも出てきますのでご注意ください


以下
冒頭より抜粋
*



 付き合いはじめてから三か月目である。
 指折り数えて九十八日。もうすぐ一〇八日を数えてしまう。言うまでもなく煩悩の数。
 こちとら木の股見ても、妄想力性欲旺盛な男子高校生。言うまでもなく、健全な青少年らしく頭の中は年がら年中悶々している。
 だって、しょうがないだろう。
 好きな奴と一つ屋根の下。
 意識しないほうがおかしいだろ!?
 俺、間違ってない。……はず。
 だというのに。
「おやすみ」
 今日も弓兵は、二人だけのときに見せる優しい笑みを浮かべてこちらを押し返し、呆然としている俺を置いて自分はさっさと隣の部屋の寝床に戻っていった。
 額に、さっきまでとはまるで温度の違うキスだけ落として。




「どう思うって言われても、それ好かれてないんじゃない?」
 慎二は肩をすくめてそういった。
 駅前のドーナツショップでドーナツ三つにコーラをつけてテーブルを挟んで座っている。
「珍しく呼び出したと思ったら、恋の相談とはね」
「ち、ちがうぞ」
「しかも自分のじゃなくて、他人の相談ときた。あいかわらずのお人好しもいいけど、衛宮はもっと自分のこと考えた方がいいぜ」
 高校生活もあと一年しかないんだしさ。
 慎二は新作のフルーツソースのかかったドーナツをぱくりとかぶりつく。いいとこの生まれのはずなのに、これもあれも俺のおごりだという。ちなみに俺はおかわり自由のコーヒーのみ。衛宮家の家計はいつでも火の車なのだ……。
「最近桜のやつがうるさいんだ、僕だって大変なんだぞ」
 そういえば近頃駅前の何とかという牛丼屋でバイトを始めたらしい。最終学年で忙しいさなかよくそんな余裕があるものだ。慎二は東京の学校を受験すると言っていたのに。
「予備校も通ってるし抜かりはないよ。模試はA判定だ」
「さいですか……」
「当然だろ」
 もともと頭は悪くない男だ。本腰を上げたらあっという間に成績は上がって今では上位三位を争うほどだ。ちなみに一位が一成、僅差で遠坂。ちょっと離されて慎二という並びだ。全員友人ってどういう示し合せだろう。
 俺? ははは聞いてくれるな。俺は一般人なんだ。
「衛宮の方こそどうなんだよ。他人の世話なんてしている暇なんてないだろう」
 ……返す言葉もございません。
「衛宮らしくていいけどね。にしても……つきあって三ヶ月だろ? そんなのもうとっくに全部終わってなきゃ」
 慎二は指についた赤いフルーツソースを行儀悪くもぺろりと舐めながら言った。
 全部ってなんだ。あれそれこれ、どれ? 最近の少年少女は早熟と聞く。果ては初体験が中学生、なんてのも聞かない話ではない。
 とは言え俺の周辺でそういう話はあまり聞いたことがない。女性陣には死んでも聞けない話であるし、一成は仏の道をいく男だし、あとは……流した浮き名は数知れず(らしい)この男しか居なかった。
 いろいろぼかして、相談者は女性としておく。「彼女」曰く、いろいろアプローチをしているのにも関わらず「彼」は何にもしてこない、いったい「彼」は何を考えているのだろう。
 つきあいはじめてわりとすぐ、キスをしたときだった。ふたりっきりだしそれ以上のことがあってもおかしくない雰囲気だった。のに、そこはそれでおしまい。とか肩すかしにもほどがある。期待した俺の胸の高まりをどうしてくれる! いや「彼女」のだな……。
 俺だって男だし好きな奴を前にしてあれこれ妄想してしまうのもしょうがないだろう!? いや、男同士どうやるのか全く未知の世界だけれど。
 ……ごめん、「彼女」です。
「だいたい、女にそこまでさせておいて手を出さない男がおかしいぜ? 大事にするって言っても程度がある。まさか『結婚するまで』とかじゃないんだろ。女のほうはオッケーなんだよな」
 まあ、ばっちこーい、というほどでもないけど、あわーいあわーい期待はあります。あるそうです。
「そいつ付いてないんじゃないか。もしくは不能」
 けけけ、と笑いながら二つ目のドーナツにとりかかっている慎二の言葉に打ちのめされる
 付いてるのは確認済み。しかし不能かどうかはわからない、が、不能ではないと思いたい。だって、ほら一応俺の未来の姿だし。そうでないと祈りたい。
 あいつだって男なのだし、そういう気がおこったっておかしくないはず。……英霊ってもしかして違うのかな? なんて思ったりもしたけれどお山の夫婦という前例があるのでそうではない、いやテストケースが微妙か。キャスターは女性だし。
 ランサーあたりにそれとなく、ってそれとなくってどうやるんだ? 英霊の性欲の有無? 聞けるかそんなもん。
 ……好かれてないんじゃない?
 コーヒーを持つ手がふるえそうになる。
「だ、だよな」
「女の方が、萎えるほど不細工とか。あ、でも付き合ってるんだっけ?」
「うん……」
「ほんとに付き合ってるの? 女の方がそう思いこんでるだけだったりして」
 あはははは、と笑いながら俺は冷め切ったコーヒーを飲み下した。……苦い。
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